皆さん、大なり小なり悩みってありますよね?
「人間はなぜ悩むのか?」というテーマについて、仏教の視点からやさしくお話ししたいと思います。
私たちは日々、さまざまなことで悩みます。
将来が不安…
人間関係がうまくいかない…
お金が足りない…
健康に不安がある…
こうした悩みには共通点があります。
それは、「心が思い通りにならない」ということ。
仏教では、この“思い通りにならないこと”を 「苦(く)」 といいます。
お釈迦様は、人生には「四苦八苦」があると説きました。
生(しょう):生まれること自体が苦しみである
老(ろう):老いることの苦しみ
病(びょう):病気になる苦しみ
死(し):死ぬことの苦しみ
これらは誰もが避けることができない苦しみです。
愛別離苦(あいべつりく):愛する人と別れる苦しみ
怨憎会苦(おんぞうえく):嫌な人と会わなければならない苦しみ
求不得苦(ぐふとっく):欲しいものが手に入らない苦しみ
五蘊盛苦(ごうんじょうく):自分の心と身体が思うようにならない苦しみ
いかがでしょうか。もしかすると自分の悩みってそんなんじゃないな、もう少し具体的な悩みだな、というご意見もあるかもしれません。お釈迦様はそれらの個別の悩みも含めて「人は常に悩み苦しむ生き物だ」ということを説明しています。
ですから皆さんが日々抱える悩みは「人間ならだれでもあるものなんだ」とまずはありのままに受け止めてあげましょう。
私たち人間は具体的にどのような悩みを抱えているのでしょうか。
仏教では世間一般で抱える悩みを「煩悩(ぼんのう)」と言います。
除夜の鐘はこの108つあるといわれる煩悩を振り払うもの、とされていますよね。
煩悩とは、「欲・怒り・無知」など、人間の心にあるさまざまな思考の一つです。
たとえば、
「もっとお金がほしい」→貪欲(とんよく)
「あいつがムカつく!」→瞋恚(しんに)
「自分さえ良ければいい」→愚痴(ぐち)
これらの煩悩は人間の脳を持っている限り自然に湧き出てくるのです。それは先にも申し上げた通り
仏教は、「苦しみをゼロにする方法」ではなく、実は「苦しみとうまく付き合う方法」を教えてくれる教えなんです。
例えば、心の中に怒りが湧いてきたとき。
それに気づき、「あ、これはまずい状況だな」と認識できるようにすることで、少し落ち着くことができます。
仏教はこのような流れをいかに上手く作っていくかというヒントを与えてくれる教えなんです。
仏教は「今ここ」に気づき、「執着(しゅうちゃく)」を手放す生き方を教えてくれます。
そうすると、心がふっと軽くなり、生きるのが少し楽になります。
お坊さんである私も、かつては悩みに押しつぶされそうな時期がありました。
だからこそ言えます。
悩みがあることは、悪いことではありません。
それは、「ちゃんと生きている証拠」だからです。
ただ、苦しみの正体を知ることで、少しだけラクになることがあります。
それが仏教の智慧なのです。
「私の悩みも煩悩なのかな?」
「どうしても怒りを手放せない…」
「不安で夜眠れない」
そんな時は、ぜひお気軽にご相談ください。
お坊さんは、人生の“迷い”や“苦しみ”をともに歩む存在です。
あなたの悩みが、少しでも軽くなるお手伝いができれば嬉しいです。
🙏 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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あなたの心が、少しでも穏やかになりますように🍃